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婦人科検診で乳がん・子宮頸がんをチェックしましょう

女性は乳がんや子宮頸がんなど女性特有の病気にかかるおそれがあるため、定期的なチェックが欠かせません。
早期発見・早期治療につなげるためにも、婦人科検診を定期的に受けましょう。
婦人科検診とは
女性特有の病気である、乳がんや子宮頸がんなどの早期発見を目的とした検診の総称です。以前は、子宮頸がん検査や経腟エコー検査など子宮や卵巣に関する検査を婦人科検診としていましたが、近年はマンモグラフィーや乳腺エコー検査など乳房に関する検査も婦人科検診に含めることが多くなっています。
婦人科検診によって病気を早期に発見できれば、治療の際の身体的・経済的負担を抑えるだけでなく、治癒率や生存率を高めることができます。
自覚症状が現れにくい病気もあるため、婦人科検診によって病気を発見することはとても重要です。20歳を超えた女性は、自治体等では2年に1回のペースで婦人科検診を受けることが推奨されています。
婦人科検診で発見できる代表的な病気
婦人科検診に含まれる検査では、次のような病気を発見することができます。
●乳がん
乳房に悪性腫瘍ができる病気です。40~60代に発症することが多く、女性の部位別がん羅患数のトップを占めています。
症状には乳房のしこり、えくぼのようなひきつれ、乳房の痛み、乳頭からの分泌物などがありますが、早期には自覚症状がなく気付かないこともあるようです。病気が進行するとしこりが大きくなり、皮膚に潰瘍ができたり血性の乳汁の分泌がみられたりすることが多くなります。
●子宮頸がん
子宮の入り口である子宮頸部にがんができる病気です。20~30代に発症することが多く、30代後半にピークを迎えます。
子宮頸がんの95%以上は性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因だといわれており、近年HPVウイルスの感染を防ぐHPVワクチンが開発されました。HPVに感染しても多くは免疫力によって自然に排出されますが、HPVの感染が持続して細胞が子宮頸がんの前病変である異形成に変化すると、数年以上かけて子宮頸がんへ進行します.
早期の自覚症状はほとんどありませんが、病気が進行すると月経以外の出血や性交時の出血などがみられるようになります。
●卵巣がん
卵巣にできる腫瘍には良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍がありますが、比較的悪性腫瘍が少ないのが特徴です。40歳を超えるとかかる女性が増え始め、50~60代に発症のピークを迎えます。
腫瘍が小さいときは自覚症状がほとんどありませんが、進行すると腹部膨満感や下腹部痛、頻尿や便秘などの症状がみられるようになります。
●子宮筋腫
子宮に良性の腫瘍ができる病気で、30~40代の女性に多く発症します。卵巣から女性ホルモンが分泌されると筋腫が大きくなり、閉経すると筋腫が小さくなることから、女性ホルモンが関与していると考えらえています。
筋腫の位置や大きさによって症状が異なりますが、主な症状には月経痛、月経量の増加、月経以外の出血、腹痛や頻尿などがあります。また、不妊や流産の原因になることもあるといわれています。
●卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
卵巣腫瘍の一種で、卵巣に袋状の嚢腫ができます。良性腫瘍であることが多く、20~30代の女性に多く発症するのが特徴です。
嚢腫の中身は様々で、チョコレート様の古い血液が溜まっている「卵巣子宮内膜症嚢胞(チョコレート嚢胞)」、皮膚や毛髪などが含まれている「皮様嚢腫」、水や粘液が溜まっている「嚢胞線種」などがあります。
嚢腫が小さいときは自覚症状がほとんどありませんが、嚢腫が大きくなると腹痛や腰痛、頻尿や便秘、下腹部にしこりが触れるなどの症状がみられるようになります。また、嚢腫の破裂や、卵巣の茎捻転を起こすと激痛があり、緊急手術が必要になることもあります。
●子宮内膜症
子宮の内側だけにあるはずの子宮内膜組織が、卵巣や子宮の周辺組織に発生する病気です。女性ホルモンの作用によって増殖と出血を繰り返すため、周辺の組織と癒着して激しい月経痛、腹痛や腰痛、排便痛や肛門痛、性交痛などがみられるようになります。また、不妊の原因になるおそれもあるといわれています。
子宮内膜症は20~30代での発症が多く見られます。30~34歳ごろにピークを迎え、閉経までの間、進行し続けることが多いです。
婦人科検診の検査項目
婦人科検診には、次のような検査項目があります。施設やプランによって検査項目が異なるため注意しましょう。
●乳がん、乳房の病変を発見する検査
○乳房視触診
医師が乳房に触れて観察します。
○マンモグラフィー検査
乳房を専用の圧迫板で挟み、エックス線を乳房に当てて検査します。
○乳腺エコー検査
乳房に超音波を当て、乳腺や乳房内部の状態を観察します。
○乳房MRI検査
磁気を体に当て、乳房内部の状態を観察します。
●子宮がん、子宮や卵巣の病変を発見する検査
○子宮頸部細胞診
子宮頸部を綿棒や専用のブラシでこすって細胞を採取し、がんの有無を調べます。
○HPV検査
子宮頸部の細胞を採取し、HPVの感染の有無を調べます。採取方法は子宮頸部細胞診と同じです。
○子宮体部細胞診
子宮内膜をブラシなどでこすって細胞を採取し、がんの有無を調べます。
○コルポスコピー検査
コルポスコープ(拡大鏡)を使い、膣内や子宮頚部を観察します。
○経腟エコー検査
専用の器具(プローベ)を膣に挿入し、超音波によって子宮や卵巣の状態を検査します。
○骨盤MRI検査
磁気を体に当て、子宮や卵巣の状態を観察します。
「尼崎市がん検診」をご利用ください
女性特有の病気は自覚症状が現れにくいものもあるため、定期的に婦人科検診を受けて病気を早期発見することが大切です。早期発見・早期治療を行うことで、治療による負担を軽減したり治癒率や生存率を高めたりすることができます。
子宮頸がん検査は20歳以上から、乳がん検診は40歳以上から、2年に1回のペースで検査することを厚生労働省が推奨しています。尼崎市でもがん検診を行っておりますので、ぜひご利用ください。
●乳がん検診・子宮頸がん検診の対象者や金額
尼崎市がん検診は、市からの補助によりお得に検診が受診できます。当院でも取り扱いをしています。
婦人科健診の対象者や金額については、下表の通りです。※詳しくは市報や市ホームページをご覧ください。
検診種類 | 対象者 | 検査内容 | 自己負担額 | 受診機会 |
---|---|---|---|---|
乳がん検診 | 40歳以上の市民(女性) | マンモグラフィ検査 (乳房X線検査) |
2,200円 | 2年度に1回 |
子宮頸がん検診 | 20歳以上の市民(女性) | 子宮頸部細胞診検査 | 1,500円 | 2年度に1回 |